【アルバム紹介】特別プリンスファンでもないのに大好きなアルバム プリンス「HITnRun Phase two」(2015)
最初に白状しておくと、プリンスにはまったく詳しくない。なんなら代表的なアルバムも聴いてない。
だけれども。
このアルバムは傑作。
今となってはこのアルバムを聴いたきっかけすら思い出せないが、このアルバムと、このアルバムの前作「HITnRUN phase one」はいまでもよく聴く大好きなアルバムだ。
話は少し脱線するが・・・同一アーティストでもこの時期のアルバムは好きだが、この時期のアルバムはどうもピンとこない、という洋楽アーティスト、結構いませんか? たとえ、デビット・ボウイほど音楽性を変えているアーティストではないにせよ。
私は今回紹介しているアルバムがいたく気に入り、ということは、これまで聴いて来なかったプリンスのアルバムも実は食わず嫌いなだけで、結構気に入るんじゃないかと思って、色々聞きかじってみたが結局、どれもこのアルバムほどの感動はなかった。もっと言えば、半分も感動しなかったと言ってしまってもいい。それについて、こいつはプリンスを聴く資格がないとか思う熱狂的ファンもいるかもしれないが。
音がいい
ボルチモアで起こった白人警官に拘束された黒人青年が死亡するという事件をモチーフにした『ボルチモア』で幕を開けるのだが、まあ曲の背景や詩作については上記リンクを見ていただくとして、とにかく音がいい。
音がいい、といっても、私の場合、ストリーミングのApple Musicにて、iPhoneにポータブルアンプをつないで、それを中くらいの値段のWestoneのイヤホンで聴いてるだけなので、それほど音響に拘ってるわけではないのだが、それでも他のアーティストのアルバムの音よりいい。
あまり専門的な表現は出来ないが・・・ホーンセクションを多用したアレンジが極上で、それらの音の広がり、厚み、分離が完璧。純粋に聴いていて心地よい。
おそらくプリンス所有の自宅兼スタジオでミックスされてるはずだが、そこになにか秘密があるんだろうなぁ。
ねちっこいファンクではない
こてこてのジェームズ・ブラウンみたいなブラック・ミュージックはあまり得意ではなく、したがってハードなファンクは聴かないのだが、このアルバムに関してはそういったこてこてさはない。
もちろんファンクではあるのだが、ホーンのアレンジなどはブラッド・スウェット・アンド・ティアーズのようなブラス・ロック的でもあり、単なるブラックミュージックの枠には収まらない懐の深い作品に仕上がっていると思う。
メロディがよい
私はライトな音楽ファンを自認しているので、メロディに起伏のないアルバムはあまり得意ではない。
ブラックミュージックでは同じリフを繰り返して恍惚感を得るような原始的な要素を含むものが多いが、あれもあまり得意ではない。
ところが、このアルバムは歌メロも良い。80年代から作曲してきて、まだこれだけ美メロが作れるのは単純に驚きだ。
まとめ
そんな訳で、特別プリンス・ファンでもないし、ブラック・ミュージックもほとんど聴かない私であるが、このアルバムは素晴らしいと認めざるを得ない。メロよし、アレンジよし、音響よし、と三方よしの近江商人のようなアルバムだ。
あくまで私の印象だが、2000年以降のプリンスは制作スピードも落ちておらず、また良いアルバムを作り続けたのにも関わらず、それほど作品が話題に上ることが少ないように思う。
特にプリンスの最晩年のアルバム群はもっと評価されてもいいような気がするなぁ。